ISO/IEC 17025認定試験機関 · ILAC-MRA協定
ZKGX Research

圧力配管検査

材料試験2026-10-28

圧力配管検査は、高圧・中圧・低圧の各条件で運用される配管系統について、材料の健全性、溶接部の品質、耐圧性能および漏れの有無を確認する一連の試験・検査である。検査は、非破壊検査によるきずの検出と、耐圧試験・漏れ試験による強度・気密性の実証という二つの柱で構成される。本稿では、圧力配管検査の適用範囲、検査前のサンプル・準備事項、RT・UT・MT・PTといった非破壊試験の実際、水圧・気圧試験の実施手順、合否判定の考え方、そしてJISおよびASME B31.1などの関連規格との対応までを、実務の手順に沿って解説する。これらの知識は、設計圧力や流体の危険性に応じた検査計画の立案と、判断根拠の明確な記録作成に資するものである。

圧力配管検査の概要と適用範囲

圧力配管検査の対象は、蒸気、水、油、ガス、各種プロセス流体を輸送する配管本体、溶接継手、フランジ接続部、分岐部および支持金具である。適用範囲は発電設備、化学プラント、ボイラー周り、空圧設備、冷凍空調系統など多岐にわたり、使用圧力と温度、流体の性状に応じて要求される検査の等級と実施時期が変わる。検査は新設時の品質確認、定期検査、改造・補修後の確認という三つの場面で実施される。いずれの場合も、検査の等級分類、試験の種類と範囲、記録様式を検査計画書に定めてから作業に入るのが基本である。配管系統図と溶接管理体制(WPS/PQRとの対応)を確認し、どの継手にどの方法を適用するかを事前に決定しておくことが、検査の抜け漏れ防止の観点から重要となる。

検査対象サンプルと事前準備

検査対象は、現地溶接された周溶接継手、溶接留め継手、配管本体の母材、補修箇所である。検査前に、材料証明書と改造・施工記録を照合し、鋼種・板厚・溶接方法が記録どおりであることを確認する。準備段階では、配管表面の塗料、スケール、スラグを除去して検査面を整える。放射線透過試験(RT)を行う場合は、撮影部の片側アクセスを確保し、フィルムあるいは imaging plate の貼付スペースと線源の設置位置を確認する。超音波探傷試験(UT)では、探傷面の粗さと耦合剤の使用可否、探触子の走査幅を確保する。磁粉探傷試験(MT)と浸透探傷試験(PT)の前には、表面の油分や水分を除去する。加えて、耐圧試験に向けて系統の隔離、試験圧力計の校正状態、排気・ドレン位置の確認を進めておく。

非破壊検査による配管試験方法—RT・UT・MT・PT

放射線透過試験(RT)は、X線装置またはγ線源を用いて溶接内部の溶込み不良、スラグ巻き込み、ブローホールを撮影記録として残せる方法である。透度計で像質を確認し、透過写真の濃度管理を行う。超音波探傷試験(UT)は、斜角探触子から送出された超音波のエコー高さと伝播時間から、内部きずの深さ方向位置と反射源の大きさを求める。厚肉管や溶接留め部に適用され、RTと同等以上のきず検出が可能とされる。磁粉探傷試験(MT)は磁化した鋼材表面に磁粉を撒き、きずによる漏洩磁束に付着する模様から表面きずを可視化する。浸透探傷試験(PT)は、浸透液を塗布し、洗浄後に現像剤で毛細管現象により潜在きずを浮かび上がらせる非磁性材向けの方法である。四方法はきずの位置と方位に応じて組み合わせて選定する。

耐圧試験と漏れ試験の実施手順—水圧・気圧試験

水圧試験は、配管系統に水を満たし、排気弁から空気を抜いた後に試験圧力まで昇圧する手順で実施する。昇圧は段階的に行い、各段階で圧力を保持し、異常音や圧力低下の有無を確認する。規定圧力での保持時間は適用規格の規定に従い、保持後に通常運転圧力まで減圧して目視検査を行う。継手、溶接部、フランジ面からのにじみと変形を調べる。水温は材料の延性遷移温度を下回らないよう管理する。水が使えない系統では気圧試験を行うが、加圧流体のエネルギーが大きいため、昇圧速度の制限、安全距離の設定、圧力計二系統の設置が必須である。漏れ試験は、耐圧試験後に指定圧力で行い、石鹸水塗布や圧力変化の監視によって漏れ箇所を特定する。試験後は完全排水・乾燥を記録する。

検査性能評価と合否判定基準

非破壊検査の結果は、得られた指示の大きさ・数・位置を規格の許容値と比較して合否を判定する。RT写真はきずの種類ごとに評価し、割れのような有害きずは原則として不合格、丸孔やスラグはサイズと分布で判定する。UTはエコー高さを基準感度と比較し、記録レベルと許容レベルの二段階で評価する。MT・PTの指示模様は、線状か円状か、長さと間隔で分類して判定する。耐圧試験では、試験圧力の保持中に目視による漏れ・変形・異常がなく圧力が維持された場合に合格とする。判定は検査成績書に規格条項、測定値、観察記録を明記した上で下す。不合格箇所は補修後に再試験を行い、再試験の条件と回数の上限を規格に基づいて管理する。欠陥の合計寸法や補修回数が限度を超える場合は設計確認に戻す。

適用場面と関連規格—JIS・ASME B31.1

圧力配管検査は、火力・原子力発電所の主蒸気系統、ボイラーの給水・蒸気配管、プラントのプロセス配管、整圧設備の空気配管などに適用される。国内ではJISの配管系統関連規格および労働安全衛生側の規制に基づく性能検査・定期検査の枠組みの中で、溶接部のRT・UTと耐圧・漏れ試験が実施される。米国系の設備ではASME B31.1(発電用配管)が広く参照され、溶接継手の検査等級に応じた非破壊試験の割合、水圧試験の圧力と保持条件、合否基準が規定されている。同規格では、検査員の資格、検査手順書の整備、記録の保存期間にも要求がある。プロジェクトごとに適用規格を特定し、JISとASMEのどちらの判定基準を採用するかを検査計画の段階で取り決めておくことが、後日の合否解釈の揺れを防ぐ。

FAQ

圧力配管検査ではRT・UT・MT・PTをどのように使い分けるのですか。

溶接内部の欠陥はRTまたはUTで調べ、RTは撮影記録が残り形判定に有利、UTは厚肉部や溶接留め部の深さ方向評価に適する。表面きずは磁性材にMT、非磁性材にPTを適用する。きずの方位と材質に応じて組み合わせて選定するのが実務の基本である。

圧力配管検査の合否は何を根拠に判定しますか。

RT写真のきず種別ごとの許容値、UTの基準感度に対するエコー高さ、MT・PTの指示模様の長さと間隔を、適用規格の許容値と比較する。耐圧試験は規定圧力の保持中に漏れ・変形がなければ合格とし、結果は規格条項と測定値を記録した検査成績書に基づいて判定する。

圧力配管検査はどんな配管・材料に適用できますか。

蒸気・水・油・ガス・プロセス流体を扱う炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼などの金属配管が対象である。発電、化学プラント、ボイラー周り、空圧設備など各種設備の配管系統に適用でき、材質の磁性の有無によって表面検査方法を選択する。