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紙おむつの検査

材料試験2026-11-05

紙おむつの検査は、衛生材料としての性能と安全性を両面から評価する試験である。検査対象は生理用ナプキンや大人用紙おむつと共通する吸収体材料であり、吸水量、保水力、再浸透性、皮膚刺激性、材料中の化学物質といった項目が中心となる。本稿では、試験項目の全体像と流れ、サンプルの採取・前処理、吸水・保水性能の測定手順、再浸透性と皮膚刺激性の評価方法、VOCおよび遊離ホルムアルデヒドの分析手法を順に解説する。さらにJIS・ISO規格に基づく合格基準の考え方と報告書の构成までを示し、品質管理や受入検査の実務に役立つ知識を整理する。

紙おむつ検査の対象項目と試験の流れ

紙おむつの検査は、大きく性能試験と安全性試験に分かれる。性能面では吸水量、吸水速度、保水力、再浸透性、表面のドライ感が評価対象となる。安全性面では皮膚刺激性、材料中の遊離ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)、可溶性重金属等の化学物質分析が行われる。試験の流れは、ロットからのサンプリング、状態調整としての恒温恒湿前処理、物理性能試験、化学分析、皮膚刺激性評価の順で進めるのが一般的である。各試験は独立に実施できるが、前処理条件が揃っていないと結果のばらつきが大きくなるため、試験順序と環境条件の管理が精度を左右する。

サンプルの採取方法と前処理

サンプリングはロットを代表するよう無作為抽出を基本とし、包装破損品や変形品は原状を記録した上で除外判断を行う。性能試験用は製品そのものを、化学分析用は吸収体、表面材、ポリマーを部位ごとに分解して採取する。前処理では恒温室(標準状態として温度23±5℃、相対湿度50±5%程度が常用される)に所定時間静置し、紙・不織布の含水率を安定させる。VOC分析用サンプルは採取後速やかに密閉容器に入れ、ヘッドスペースへの揮散を防ぐ。皮膚刺激性試験に用いる抽出液は、生理食塩液等の規定溶媒に規定比の面積比で浸せきし、規定温度・時間で調製する。前処理の記録はトレーサビリティ確保の観点から報告書に残す。

吸水量・保水力の測定方法

吸水量の測定は、人工尿または生理食塩液を用いる。試料を液体中に規定時間浸せきした後、引き上げて規定時間滴水し、浸せき前後の質量差から単位面積または1枚あたりの吸水量を算出する。保水力は、吸水後の試料に遠心力または加圧条件を与えた際に保持される液量で評価する。遠心法では規定回転数・時間の条件下で脱水し、残存液量を測定する。高吸水性樹脂単体の評価では、茶こし等を用いた自由膨潤法や加圧吸水法が知られている。測定時は液温を一定に保ち、滴水角度と時間を統一することが再現性の要件となる。併せて吸水速度の指標として、液滴の浸透時間測定を行う場合もある。

再浸透性と皮膚刺激性の試験方法

再浸透性試験は、加圧下で吸収体から表面側へ逆流する液量を測定するものである。規定回の連続注液後、規定質量の加圧体を介してろ紙を押し当て、ろ紙の質量増加分をもって再浸透量とする。注液量、加圧力、放置時間を各回で統一しないと測定値が大きく変動するため、条件設定の記録が不可欠である。皮膚刺激性は、通常、試料の抽出液を用いた生物学的評価または代替法で行う。粘膜接触を想定した場合には、細胞毒性試験や再構築ヒト表皮モデルを用いた刺激性評価が採用されることがある。動物試験は法的要件がある場合に限定され、代替法の利用が国際的な趨勢である。

材料安全性試験 — VOC・遊離ホルムアルデヒド分析

VOC分析は、試料をバイアル瓶に封入し恒温槽で加熱した後、ヘッドスペースガスをGC-MSで測定するヘッドスペース法が主流である。トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、接着剤・インキ由来の溶剤成分を定性・定量する。カラムには極性・中極性のキャピラリーカラムを使い分け、検量線法または内部標準法で定量する。遊離ホルムアルデヒドは、アセチルアセトン法(ナッシュ試薬法)による分光光度計測定、または液クロマトグラフ(HPLC)による定量が広く行われる。抽出条件には水系抽出と人工汗液抽出があり、皮膚接触を想定した条件を選定する。分析値は規制閾値と比較し、適合性を判定する。

JIS・ISO規格に基づく合格基準と報告書

関連する規格には、生理用ナプキン及び紙おむつのJIS規格、衛生材料の安全性評価に関するISO規格等があり、吸水量・再浸透性の試験方法、化学物質の限度値、表示要件が定められている。合格基準は、規格の規定値に加え、納入仕様書や当事者間の合仕様が併用されるのが実情である。報告書には、サンプル識別情報、試験時の環境条件、試験方法の根拠規格、測定結果と判定、使用した機器と校正状況を記載する。測定結果が基準値近傍にある場合は測定不確かさを併記し、判定の根拠を明確にする。条件変更や部分適合がある場合は注記として明示し、第三者読者が結果を追試できる記述が求められる。

FAQ

紙おむつ検査の報告書には何が記載され、どのように活用できますか?

報告書にはサンプル情報、試験環境、吸水量・保水力・再浸透性の結果、VOCや遊離ホルムアルデヒドの分析値、判定根拠規格が記載されます。品質管理、納入検査、クレーム対応、表示根拠の確認などに用いられ、測定不確かさの併記により判定の信頼性を担保します。

紙おむつ検査を依頼する際の流れと確認すべき点は何ですか?

依頼時に試験項目(性能・化学分析・皮膚刺激性)、根拠規格、抽出条件を明示します。サンプルは密閉容器で提出し、VOC分析用は特に揮散防止が必要です。評価の目的(受入検査か開発比較か)を伝えると、適切な試験条件と報告形式を調整できます。

紙おむつ検査の費用は何で変わりますか?

試験項目数、化学分析の種類(GC-MSやHPLCの適用有無)、皮膚刺激性評価の実施有無、サンプル数が主な要因です。分析機器の稼働時間や抽出・前処理の手間、報告書の範囲(判定文書の有無)によっても金額が変動します。