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アスファルト試験

材料試験2026-11-05

アスファルト試験は、道路舗装に用いられるストレートアスファルトおよびアスファルト混合物を対象とする品質評価の総称である。評価対象は、バインダー自体の物性(針入度・軟化点・延度)、混合物の力学性状(マーシャル安定度)、配合の適合性(アスファルト量・粒度)に大別され、JISおよび舗装仕様に定められた試験法に従って実施される。各試験は供試体の採取・調製から合格判定まで一連の流れで管理する必要があり、手順の妥当性が測定値の信頼性を直接左右する。本稿では、試験項目の全体像から供試体調製、三大物性試験の実施手順、配合設計とマーシャル安定度試験、抽出試験による定量評価、合格判定基準までを段階的に解説する。測定値の読み取りや記録の考え方については、光ファイバー減衰測定の方法と原理:測定値の読み方で述べた機器読取りの原則と共通する点にも触れる。

アスファルト試験の概要と試験項目

アスファルト試験は、バインダー(石油アスファルト)の品質試験と、アスファルト混合物の性能試験の二系統で構成される。バインダー試験の主要項目は針入度、軟化点、延度の三大物性であり、ほかに蒸発後の針入度比、 flash point(引火点)、三塩化エチレンに対する溶解度などが要求される場合がある。混合物試験では、マーシャル安定度試験による力学的性状の評価に加え、密度・空隙率・飽和度などの物理指標、抽出試験によるアスファルト量および骨材粒度の確認が行われる。試験の実施に当たっては、対象が改質アスファルトかストレートアスファルトかを確認し、規格上の分類(針入度グレード等)に対応する試験温度と条件を選定する。検査体系は定期検査型の材料検査とは異なり、工事の配合設計段階と施工管理段階の双方で繰り返し実施される点に特徴がある。

供試体の採取・調製方法

供試体の採取は、タンク車・貯蔵タンク・プラントから行うのが原則である。バインダーを採取する際は、サンプリング前にタンク内のアスファルトを循環または攪拌し、層分離や局部加熱による品質変動を取り除く。採取容器は清浄で密閉可能な金属容器を用い、変質防止のため冷暗所に保管する。加熱時の温度管理が重要であり、過度の加熱は軽質分の損失と酸化を招き、針入度の低下をもたらす。混合物側では、プラントまたは現場から採取した材料を所定温度に保持し、突き固めまたは転圧により供試体を作製する。締固め温度と温度低下の管理が密度および安定度の測定値を左右するため、温度計による逐次確認が求められる。試験片の寸法・質量・外観の記録も調製工程に含め、後の判定と照合できる形で残置する。

針入度・軟化点・延度試験の実施手順

針入度試験は、25℃の恒温水槽中で供試体を調温したのち、規定質量の針を規定時間供試体表面から貫入させ、貫入量を0.1mm単位で読み取る。針の先端が試料面に接触した状態を起点とし、秒時計と貫入装置の操作を同期させることが精度上の要点である。軟化点試験はリングとボールを用い、水またはグリセリン浴中で昇温しながらアスファルトが軟化し、鋼球が規定距離を降下した時点の温度を測定する。昇温速度の維持が結果を大きく左右するため、加熱源の調整を厳守する。延度試験では、ブリケット型に成形した試料を所定温度の水槽中で一定速度で引張り、切断までの延びを測定する。測定値の読取りと異常値の取扱いは、光ファイバー減衰測定における波形判読と同様に、装置条件と試験条件を併記して初めて比較可能となる点に留意する。

配合設計とマーシャル安定度試験

配合設計は、使用する骨材の粒度と予定アスファルト量をもとに、数種類のアスファルト量についてマーシャル試験用供試体を作製し、安定度・流値・密度・空隙率・飽和度を求める手順で進める。得られた各指標をアスファルト量に対してプロットし、仕様の規定範囲を満たすアスファルト量の幅から設計値を決定する。マーシャル安定度試験では、直径101.6mm・高さ63.5mm程度の円柱供試体を60℃の水槽で調温し、圧縮試験機により毎分50mmの載荷速度で破壊まで圧縮する。安定度は最大荷重(kN)、流値はそのときの変形量(1/100mm単位)として記録する。施工管理段階では、プラントから採取した混合物で同様の試験を行い、出来形と品質の変動を管理する。品質管理の周期設定の考え方は、アイボルト(吊り金具)の国家検査規格と検査周期・耐用年数の解説で扱う定期検査の考え方と同様に、使用条件とリスクに応じて決めるのが適切である。

抽出試験によるアスファルト量・粒度測定

抽出試験は、混合物中のアスファルト量と骨材粒度を実測する試験である。遠心分離式抽出機を用い、混合物を溶剤で洗浄してアスファルトを溶解分離し、抽出前後の質量差からアスファルト量を算定する。溶剤には一般にトリクロロエチレン系が用いられ、洗浄液が無色透明となるまで抽出を繰り返す。アスファルト量は、抽出された骨材質量と混合物質量から計算するが、微細粉末の損失を補正するため、抽出液をろ過して捕集した通過物質を加味する方法が併用される。分離した骨材は乾燥後、ふるい分け試験に供し、各ふるいの通過質量百分率から粒度曲線を求める。粒度の判定には合成粒度の規格範囲との照合を用いる。定量に係る機器分析の考え方としては、糖鎖分析で用いられるHPAEC-PADによる単糖組成分析法と単糖組成プロファイルの解釈と同様に、分離手段と検出対象の組み合わせが定量精度を決めるという原則が共通する。

JIS・舗装仕様に基づく合格判定基準

合格判定は、JIS K 2207(石油アスファルト)等のバインダー規格と、発注機関の舗装仕様に定める混合物の規定値の二段構えで行う。バインダーについては、針入度グレードごとに針入度・軟化点・延度などの許容範囲が規定されており、試験値が規格の上下限以内にあることを確認する。混合物については、マーシャル安定度の最小値、空隙率・飽和度の範囲、動的安定度の最小値、抽出アスファルト量の設計値に対する許容差、粒度の規格範囲からの逸脱限度などが仕様書に明記される。判定に際しては、試験条件(温度・養生・載荷速度)が規定どおりであったことを試験記録で確認したうえで値を照合する。不合格の場合は、配合の再検討、プラントの計量確認、材料の再試験といった処置をとり、その記録を検査報告書に反映する。判定根拠と測定条件を一体で管理することが、試験結果の追跡性を保つ要件となる。

FAQ

アスファルト試験の合格判定はどの基準値に基づいて行われますか?

バインダーはJIS K 2207等の規格で針入度グレードごとに針入度・軟化点・延度の範囲が定められており、これに照合します。混合物は発注機関の舗装仕様に基づき、マーシャル安定度・空隙率・飽和度・抽出アスファルト量・粒度の規定値と測定値を比較して合否を判定します。

アスファルト試験の対象となる材料・製品の範囲はどこまでですか?

対象は道路舗装用の石油アスファルト(ストレートアスファルトおよび改質アスファルト)と、これを用いる加熱アスファルト混合物です。バインダーの三大物性試験、混合物のマーシャル安定度試験、抽出試験によるアスファルト量・粒度の測定が基本的な範囲となります。

アスファルト試験の報告書には何を記載し、どのように活用されますか?

試験条件(温度・載荷速度・調温時間)、測定値、合否判定の根拠規格、供試体の採取情報を記載します。配合設計段階では設計アスファルト量の決定に、施工段階では品質管理と出来形確認の記録として用いられ、不合格時の処置履歴も併せて残置します。